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霧島ヒストリー:霧島山 新燃岳 大噴火から今年1/26で13年
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ウィキペディアより
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新燃岳(しんもえだけ)は、九州南部の霧島山中央部に位置し、有史以降も噴火を繰り返している標高1,421mの活火山である。三等三角点は山頂のカルデラ縁にあり、噴火口およびカルデラは鹿児島県霧島市域に位置する[1]。尾根筋は宮崎県小林市にまたがる。
霧島山最高峰である韓国岳と霧島山東部に聳える霊峰高千穂峰の中間付近に位置し、獅子戸岳と中岳の間に割り込むようにして聳えるなだらかな円錐台形の火山であり、山頂に直径750mの円形火口を有する。火口底には平成噴火前まで直径150メートル (m)、水深30mの青緑色を呈する火口湖の新燃池が存在していた。地質は輝石安山岩からなる基盤山体の上に火砕丘が重なった構造となっている。
火口壁の南側に2つの岩峰が屹立しており、「兎の耳」と呼ばれている。山域は1934年(昭和9年)3月16日に、霧島屋久国立公園の特別保護区域に指定されている[2]。
平成噴火前まで高千穂河原から中岳を経由した登山道が整備され、山頂付近の植生はススキを中心とした草原となっており、所々に低木のミヤマキリシマ群生地が散在していた。当時も火山活動によってしばしば登山禁止の措置がとられる
2011年の噴火[編集]
2011年(平成23年)1月19日に約半年ぶりに噴火した後、1月26日に準プリニー式噴火が発生した。1月27日頃から溶岩の出現も確認され、約300年ぶりのマグマ噴火となった[23]。マグマ噴出量は0.0172 DREkm3。火山爆発指数:VEI3[24]。
経過[編集]
- 1月19日1時19分、空振を伴った小規模なマグマ水蒸気噴火、噴煙高度200m。
- 1月22日、噴火。
- 1月26日、未明から小規模な噴火が発生していたが、14時49分頃、噴出が急激に強まった(準プリニー式噴火)。準プリニー式噴火が起こる前兆現象はほとんどなく、事前に警告は発せられなかった[23]。噴煙は火口から7000m上空まで上がったと解析されている[23]。噴火により、風下にあたる宮崎県南部で大量の火山灰や軽石が降った。18時、噴火警戒レベル3に引き上げられ、火口周辺2kmに立ち入り規制が敷かれた。準プリニー式噴火は、翌27日にかけて3回発生した[23]。
- 1月27日
15時41分には52年ぶりとなる爆発的噴火(ブルカノ式噴火)があり[25]、火口から2500m上空の高さまで噴煙が上がり[26][27]、火口から北西以外のほぼ全方向へ約1.5kmにわたる火砕流の跡も確認され、火口付近での火山雷なども観測された。 - 1月28日の午前中に東京大学地震研究所による観測が上空からなされ、火口内では火口湖が消失し、直径数十m程度の溶岩ドームが出現したと発表された。宮崎市や都城市に火山灰が降り積もった[28]。国土地理院は新燃岳は火口の真下の深さ約3kmと、火口からの西北西に約10km離れた深さ約6kmの2ヶ所にマグマが貯留していることを報告した。火口の真下には東京ドームの0.8杯分にあたる約100万m3のマグマが、西北西には約600万m3のマグマが溜まっていると推定され[29][30]、今回の噴火によって膨張傾向にあった新燃岳の体積が縮小したことも判明した[30]。
- 1月30日
火口内の溶岩ドームが直径500mにまで成長し、中心部の高さは火口縁付近に達していることが確認された[31][32]。宮崎県高原町は30日深夜、「火山が非常に危険な状態にある」として火口の東側にある町内の512世帯約1,150人に避難勧告を出した。火口から2km以内の入山規制が3km以内に拡大された[33][34]。この噴火によって火口内に出現した直径500mの溶岩ドームにより、観光地として有名だった新燃池は消滅した。 - 2月1日7時54分
4回目の爆発的噴火が起こり、火口の南西3.2km地点で458.4Paの空振を記録した[35]。空振により100枚以上のガラスが割れ、火口から6km離れた霧島市牧園町の霧島温泉クリニックでは負傷者が出る被害があった。九州地方各地をはじめ四国地方の愛媛県や高知県でも家屋の振動が報告され[36]、関東の千葉県でも圧力変化として観測された[37]。火口から南西約3.2kmの地点に70×50cmの大きさの火山弾と、直径6m×深さ2.5mの広さの穴が見つかった[35]。そのため、入山規制が4km以内に拡大された[38]。火山灰や噴石の噴出量は26日の噴火から2日間だけで約7000万tと推計される[39]。4回目の爆発的噴火の後に溶岩ドームの直径がさらに拡大し600mとなった事が判明した。溶岩ドームが火口に蓋をする形となったため、内部の圧力が高まり、溶岩ドームの頂上を吹き飛ばず形で爆発的噴火の間隔が狭まった[40]が、2月になると爆発の頻度は減少に転じ、マグマの噴出も鈍化した。2月2日までの噴出量は270 – 370万m3と推定されている[41]。 - 2月14日午前5時7分
山体の収縮の速度は1月31日から鈍化していた[42]が、通算11回目の爆発的噴火が起き、火口から10km離れた小林市細野で1-3cmの噴石が約80件降った。火口から北東に16kmの所でも駐車中の車のサンルーフが割れた。3.2kmの空振計は332.1Paを記録した。9kmの宮崎道霧島SAで停車中の車の窓ガラスが割れた[43][44]。 - 3月1日、13回目の爆発的噴火。これ以降、爆発的噴火はなし[24]。
- 3月13日、噴煙が火口から4000mの高さまで上がり、直径1-4cmの噴石が火口から9kmの地点に落下[23]。
- 4月18日、直径2cmの噴石が火口から9kmの高原町に落下し、太陽熱温水器や太陽電池パネルが破損[23]。
- 上記の後は約2か月間噴火がなかったが[23]、6月下旬より9月上旬まで噴煙を火口より200m – 1000m程度まで吹き上げる小規模な活動が続く[45][23]。最後の噴火は9月7日だった[23]。
- 平成23年10月11日の火山噴火予知連絡会の発表では「間欠的に噴火が継続していることと、北西地下のマグマだまりにマグマの供給が続いていること」などが報告された[46]。
- 2012年(平成24年)1月以降、マグマの供給を示す地殻変動は止まったが、火山性地震は継続した(噴火警戒レベル3、入山規制が継続)[47]。
- 2013年(平成25年)10月22日、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)へ引き下げ[48]。
- 2014年(平成26年)、地下のマグマだまりが前年12月頃から膨張する傾向にあり、1月にかけて付近で小さな地震が発生し、新燃岳の火口直下でも2月20日頃から地震が増加している[49]。
影響[編集]
1月19日以降の噴火により噴出した火山灰は新燃岳の東側にあたる都城盆地、宮崎平野南部、鰐塚山地などに広がり、遠隔地の日南市にまで降灰が及んだ。このため火口に近い高原町、都城市および霧島市を中心として多くの被害が発生。特に1月26日夜から1月29日にかけては継続的に降灰があり、交通機関においては鉄道の運転見合わせ、高速道路の通行止、空港の一時閉鎖などがあった[50][51]。道路に溜まった火山灰を除去するため、鹿児島市から路面清掃車と散水車が都城市と日南市へ派遣された[52]。小中学校の休校や[53]、観光施設の一時閉鎖などの影響もあった[54]。高原町、都城市および霧島市では住民の避難も行われた[55][56]。農業においては農作物の生育不良や汚損などの被害があり[57]、宮崎銀行や宮崎太陽銀行は、被害を受けた個人事業主や農家に対応する融資を提供した[58]。韓国岳や大幡池から中岳までは入山規制、高千穂峰も周辺道路の交通規制により登山できなくなった。Jリーグの川崎フロンターレ、東京ヴェルディ1969、アビスパ福岡、横浜F・マリノスなどの多くのクラブは、宮崎県内でのキャンプを中止あるいは中断した[59][60]。
2017年の噴火[編集]
2017年(平成29年)9月23日より火山性地震が増加し[61]、10月5日に噴火警戒レベルが1から2へ引き上げられた[62]。10月11日5時34分頃、6年ぶりに噴火し、噴煙が火口縁上300mまで上がった。噴火は小規模だったが、気象庁はさらに噴火が活発化する可能性があるとして11時5分に噴火警戒レベルを3(入山規制、警戒範囲2km)に引き上げた[63]。10月14日には噴煙が火口上2300mまで上がった[64]。10月15日には気象庁が、火山ガス放出量が1日11,000トンに急増したと発表し、警戒範囲を3kmに拡大させたが[65]、10月17日を最後に噴火は停止した[66]。この活動で噴出した物質には、深部から急減圧したマグマ物質と考えられるガラス光沢のある暗色粒子(G)が含まれていたと報告されている[67]。
2018年の噴火[編集]
2017年7月頃から、GNSSの観測で霧島山を挟む地点間の距離が伸びる地殻変動が継続し、霧島山の地下にマグマの蓄積が続いていると考えられていた[68]。後述の噴火に伴い、2018年3月6日から8日にかけて、このマグマだまりの収縮と考えられる変動が観測された[69]。
2018年(平成30年)3月1日8時頃から火山性微動が観測され、11時頃に噴火が確認された[70]。同日16時40分、気象庁は警戒範囲を2kmから3kmに拡大した(噴火警戒レベルは2017年10月から3を継続)[70]。3月2日以降も火山灰を放出し続けた[71]。
3月6日には火口内に溶岩が確認され、14時半頃、爆発的噴火が7年ぶりに発生[72]。6日には降灰により鹿児島空港を発着する78便が欠航した[72]。爆発的噴火は6日に18回[73]、7日に16回観測される[74]など、その後も繰り返された。溶岩は8日夜までに火口内をほぼ満たし[75]、9日には北西側の火口縁を越えて溶岩流が流出しているのが確認された[76]。10日には噴煙が火口から4500mの高さまで上がり、大きな噴石が火口から1800m飛散したことなどから、気象庁は警戒範囲を3kmから4kmに拡大[77][78]。これらの噴火は、溶岩の内部で火山ガスの圧力が高まって爆発したと推定される[69]。火口からの溶岩の噴出は9日頃にほぼ停止したと考えられ、その量は約1400万m3(0.014km3)[69]。火口縁から溢れた溶岩流は幅約200mで、ゆっくりと流下し、13日時点で火口縁から溶岩流の先端まで80-90m程度と推定されている[79]。
3月中旬以降は噴火の間隔が徐々に長くなった。3月25日の噴火ではごく小規模な火砕流が発生。4月5日の噴火では噴煙が火口から8000mの高さまで上がったと推定される[80]。